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相続・遺言/特別受益

特別受益

【質問】
父(H)が死亡し、相続人は母(W)と子3人(A、B、C、D)です。
父は、X銀行、Y銀行に預金、不動産を有していましたが、遺言書で、父が愛用していた高価な楽器(バイオリン)を母に遺贈すると書いていました。このような場合の遺産の分け方はどうなりますか?
また、同様の事例でHが生前に、不動産をAに譲渡していたようなケースではどうでしょうか?

【回答】
特別受益制度とは、相続人の中に、特定遺贈や生前贈与を受けた人がいる場合に、特定遺贈・生前贈与を受けた財産を、相続分を算定する際に、計算に含める制度です。
この場合の遺贈や生前贈与を特別受益と言います。
  1. 特定遺贈
    特定遺贈とは、遺言により無償で、自らの財産を与えることです。
    特定遺贈とは、意思表示(単独行為)による権利移転です。被相続人(遺言者である父H)の承継人である他の相続人(子であるA,B,C,D)が遺贈をしたHの地位を承継し、Wにバイオリンを譲渡する義務を負います。従って、A,B,C,DはバイオリンをWに譲渡するので、バイオリンは、Wの物であり、遺産の範囲から外れます。
    例えば、Hの遺言が、「X銀行預金は〇に、Y銀行預金は〇に、不動産は〇に、相続させる。」と書いてあった場合は、遺産全体についてその分け方を書いている「遺産方法の指定」であり、「遺贈」とは考えられません。従って、X銀行の預金も、Y銀行の預金も、不動産も、遺産分割の対象です。
    しかし、本件は、遺産のうちのバイオリンのみを指定して「遺贈する。」と書いていますので、Hの意思は、バイオリンはWにあげて、遺産の範囲から外す、というものであると考えるべきです。
    この場合の遺産分割の仕方ですが、WとA,B,C,Dで平等になるように、相続分の計算上は、バイオリンも遺産の範囲に入れます。つまり、X銀行の預金が2000万円、Y銀行の預金が1000万円、不動産が3000万円、バイオリンが4000万円だとしたら、相続分の計算上は、これらをすべて足して、合計1億円が遺産とみます(このような考え方を「持ち戻し」といいます。)。
    すると、Wの相続分は5000万円、子A,B,C,Dの相続分は1250万円です。そして、Wは既に4000万円のバイオリンを遺贈として受け取っているので、残りの遺産(計算上の遺産ではなく、本来の遺産であるX銀行、Y銀行、不動産)のうちから1000万円しかもらえません。例えば、WがY銀行の預金1000万円をもらい、残りのX銀行の預金と不動産をA,B,C,Dで分けることになります。
    もちろん、以上は、法定相続分通りの分け方をした場合の話で、相続人全員が同意すれば、これと違った相続分で分けることは可能です。
  2. 生前贈与
    生前贈与は、質問の、Hが死亡する前に、不動産をAに譲渡していたようなケースです。生前贈与の条文は民法903条1項にあり「婚姻若しくは養子縁組若しくは生計の資本として」なされた生前贈与、と書いていますが、この「」内の文言は気にする必要はありません。
    理由はどうであれ、ある程度の高額な贈与は、生前贈与に含まれます。
    もちろん、親は子を扶養する義務があるので、通常の扶養に当たるもの、たとえば、大学生への仕送りなどは生前贈与には当たりません。しかし、成人して、就職、結婚した後に受けた贈与は、通常自立して親の扶養なしに生活すべきでなのにもらったものであり、生前贈与に含まれます。
    この場合も、特定遺贈と同様に、相続分の計算上は、不動産を遺産の範囲に含める、「持ち戻し」を行います。
    よって、Wは5000万円、A,B,C,Dは1250万円が相続分です。
    Aは1250万円を超える3000万円の不動産をもらっています。これは、一旦贈与されたもので、既に遺産ではなくなっていますので、他の相続人との間で分ける必要はありません。あくまで、Aの所有物であり、Aは不動産を持っておいてよいわけです。ただし、1250万円を超える生前贈与を受けているので、X銀行、Y銀行の預金からはもらえません。
    バイオリンもWの所有物であり、遺産ではありません。
    結局、本来の遺産は、X銀行の預金、Y銀行の預金のみであり、これらをWとB,C,Dで分けます。

生命保険金

【質問】生命保険金の受取人として1000万円をもらった相続人がいます。
    この生命保険金は遺産の対象になるでしょうか。

【回答】
なりません。
まず、生命保険金については、保険契約で受取人となっている者が全額を受け取ることができ、この点については争いがありません。
しかし、これを遺産分割の際に考慮に入れるかどうかについてはいろいろな考えがありました。
一つは、生命保険金を特別受益と考えるものです。
相続分が同じである相続人がA,B,C,Dの4人おり、遺産が、1億円あり、Aが生命保険の受取人として、2000万円をもらった場合、生命保険を特別受益として遺産分割に影響させる「持ち戻し」とすると、1億円+2000万円=1億2000万円を基準にそれぞれの取り分を考えることになり、A,B,C,Dそれぞれは、相続分が4分の1ずつなので、1人当たりの取り分は3000万円となります。
そして、Aは生命保険を2000万円もらっているため、3000万円から2000万円を引いた残りの1000万円しか遺産をもらえません。生命保険をいれると、A,B,C,Dそれぞれ3000万円ずつもらっており、ある意味平等です。しかし、生命保険の受取人としてAを指定していた、亡くなった方(被相続人)の意向を反映しているかは疑問です。
最高裁平成16年10月29日は、このような考え方を否定し、「養老保険の死亡保険金は,特別受益に当たらない。不公平が到底是認できないほど著しい特段の事情があれば,903条類推適用により,持戻の対象となる。」としました。
よって、先ほどの事例で言うと、1億円の遺産は、A,B,C,Dが平等に4分の1ずつ分け、一人2500万円もらえます。Aはこれとは別に生命保険2000万円をもらえます。生命保険の2000万円分をAが多めにもらっており、A,B,C,D間では不平等とも思えますが、生命保険金の受取人をAとした亡くなった被相続人の意向を重視しているといえます。
ただし、上記の最高裁の判決も、「不公平が到底是認できないほど著しい特段の事情があれば持ち戻しの対象となる。」という保留を付けており、生命保険金の金額が遺産に比べてあまりに多額な場合は、持ち戻しが行われ、生命保険金の受取人の取り部が減らされる余地はあります。




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