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交通事故/個人事業主の休業損害について

はじめに

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休業損害とは、交通事故の怪我のために、会社に出勤できず、給与が減ったり、有給休暇を消化してしまったり、自営業者の方の売り上げが減って減収になった場合に、減った収入の補てんを損害賠償として事故の相手方に請求するものです
給与所得者の方の休業損害は、勤務先に休業損害証明書を出してもらい、それに基づいて計算します。
しかし、事業主の場合、会社が給与の金額や休業の事実を証明してくれないので、どのようにして休業による減収の金額を算出し、それを証明するかが問題になります。





  個人事業主の休業損害の出し方にはどのようなものがありますか?


  個人事業主の休業損害の金額の計算方法としては、以下の2通りがあります。
  A 
事故前年の所得と事故当該年の所得の差額を損害とみる
  B 
事故前年の所得から、1日当たりの休業損害額を出して、休業日数をかける。
A,Bいずれでもよいですが、被害者としては、金額の多くなる方で計算して請求したいところです。
    
  個人事業主が休業中も、従業員や家族が事務所、お店を空けて営業していましたが、休業損害は認められますか?
 
事業主が休業中も、家族や従業員が働いて、事務所(店舗)をオープンして営業をし、収益を得ていた場合、休業損害を得られるか、問題となります。
 最高裁S43.8.2は、(死亡事故の逸失利益の事案ですが)個人事業の収益には、①
個人事業主自身の働きによる利益、②家族などおよび従業員が働いて得ていた利益、③土地、建物その他の設備を利用することによる利益が含まれると考え、①②③のうち①個人事業主自身の働きによる利益のみを休業損害と考えています(労務価額説)。
 これに対し①②③の収益全てが、休業損害であるという考えは「全額説」といいます。おそらく②の利益は給与と、③の利益は地代家賃と相殺され、事業収益全額が、個人事業主自身の働きによる利益と考えているものと思われます。
 最高裁の考え(労務価額説)によると、事業主本人が休業中も、従業員が働くなどして事業継続していた場合は、事業で得ていた収益のすべてが、事業主自身の働きによる収益ではなく、上記の②③を引いた残りの部分が、事業主自身の働きによる収益と考え、これを休業損害とします。
 具体的には、前年度の収益と、交通事故にあった年度の収益を比べ、減った分が③の事業主自身の働きによる収益と考え、これで休業損害の計算をします。上記の最高裁の事件は、事業主の方が亡くなったが、その後も家族などが事業を続けて収益を得ていた事案であり、事故前の事業の収益の5年の平均と事故後の家族の方の経営による収益の差額を事業主自身の働きによる収益と考え、逸失利益の計算をしています。
これに対し、「休業中はお店を閉めた」「事業は全く行わなかった」など完全休業していれば、前年度の事業収益のすべてを③の事業主が働いて得ていた収益とみて、休業損害を計算してよいと思います。

 「事故前年の所得から、1日当たりの休業損害額を出して、休業日数をかける」方法で、休業損害を算出したいのですが、自営業者の1日当たりの休業損害額はどのようにして計算するのですか?

 通常は、確定申告書を使います。青色申告をしている場合、A4ヨコ置きで「決算書」というものがついていますので、これを使います。具体的には、「差引金額」という欄があり、そこに書いてある金額が事業による収益です。具体的には売上から商品仕入れ原価や諸経費(人件費、地代家賃、固定資産減価償却費、水道光熱費など)を引いた残りの金額です。
 しかし、1日当たりの休業損害を出す場合、収益に、固定経費を加えてよいです。固定費とは、休業しても、支払しなければならない費用のことで、この支払により減った金額も休業損害となります。固定経費は、固定資産減価償却費、不動産賃借料、従業員給与、損害保険料などです。
 1日当たりの休業損害額は、収益+固定経費を365日などで割って算出します。
専従者給与を引く前の金額を収益と考えてよいか、問題となりますが、専従者給与は、実質的に働いてもらった分の給与というよりは税金を低くするための控除の1つという要素が強い(実際に妻が給与分働いていないことが多い)ので、引かなくていいという考えが一般的です。



  確定申告書を作っていなかった場合、交通事故の怪我による減収をどのように証明したらよいですか。

 交通事故の怪我による減収は、被害者が証明しなければならず、これを証明しないと休業損害が認められません。確定申告書がない場合、証明が難しいですが、例えば、売上が全て通帳に入ってきている、あるいは、現金による売り上げも一旦通帳に入れて管理していたような場合は、通帳を証拠にすれば、売上の証明は可能なので、そこから原価や諸経費を除いた分をもとに休業損害を計算して請求することは可能です。出納帳などで証明することも考えられます。

[参考文献]
・ 赤い本下巻H26版 P25~
・ 赤い本S63版 P82~、P91
・ 休業損害と逸失利益算定の手引き(保険毎日新聞社)

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